最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)984 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人等の負担とする。
理 由
上告代理人森岡三八の上告理由第一、第二点について。
詐害行為の取消の効力は、取消訴訟の当事者である債権者と受益者または転得者
との相対的な関係で詐害行為を無効ならしめるにとどまり、債務者と受益者、受益
者と転得者との間の法律関係には、何等の影響をも及ぼさないものであることは大
審院民事連合部判決(明治四三年(オ)第一四八号同四四年三月二四日云渡、民録
一七輯一二一頁)以来判例とするところであつて、いまこれを変更する必要を認め
ないそうすると、原審が、右判例に従つて、被上告人B(債権者)と上告人等の先
代D(受益者)との間の所論の詐害行為取消の判決にかかわらず、DとE(債務者)
との間においては、本件家屋についての原判示の代物弁済は依然としてその効力を
有し、Dの原判示の抵当権は混同によつて消滅したままであり、同人の相続人であ
ると主張する上告人等は、右代物弁済が詐害行為として取消されたことを理由に、
Eに対し、同人が右家屋の所有権を回復したこと及び右抵当権の復活したことを主
張して右抵当権設定登記の抹消回復登記の手続を求めることはできず、従つて右登
記手続についての被上告人等の承諾を求めることは、その前提を欠くものであつて
許されない旨説示したのは正当である。
論旨は、右と異なる独自の見解にもとづき原判決を非難するものであつて、所論
違憲の主張はその前提を欠き、論旨はいずれも採用することができない。
同第三点について。
原判決は、その理由の後段において、本件家屋につき上告人等の先代Dのために
設定された原判示抵当権が有効であり、かつ、右抵当権設定契約が詐害行為として
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取消されることのないかぎり、原判示の別訴において被上告人Bが原判示代物弁済
を詐害行為としてその取消を請求しても、Dは、原判示の理由により抵当権者とし
ての利益を失うことはなかつたはずであるが、右訴訟において同人が自己の抵当権
を主張して右代物弁済の目的物の一部が総債権者の一般担保を構成しないことを主
張した形跡を認め難く、Dはそのときにおいて抵当権者としての利益を自ら喪失し
たものである旨説示しているのであつて、右は首肯するに足り(最高裁昭和三〇年
(オ)第二六〇号同三六年七月一九日大法廷判決、民集一五巻七号一八七七頁参照)、
原判決には所論のような理由そごの違法はない。
論旨は、原判決を正解せずしてこれを非難するにすぎず、採用することができな
い。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 石 坂 修 一
裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
裁判官 五 鬼 上 堅 磐
裁判官 横 田 正 俊
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